資格者証は取り直す?住民票は不要?――10月1日施行の警備業法施行規則改正を実務で解説

2026年10月1日から、警備業法施行規則と警備員の講習・検定などに関する国家公安委員会規則が改正されました。

今回の改正によって、警備員指導教育責任者資格者証や機械警備業務管理者資格者証などから、本籍に関する記載欄が削除されています。

この改正を知り、

「今持っている資格者証は取り直す必要があるのか」

「本籍欄がなくなれば、本籍記載の住民票も不要になるのか」

「警備会社は、社内の申請書をすべて入れ替えなければならないのか」

と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

今回は、2026年10月1日施行の改正内容と、警備会社が実務上確認しておきたい点を整理します。

30秒で分かる今回の改正

最初に、今回の改正の要点をまとめます。

  • 現在持っている資格者証を、今回の改正だけを理由に取り直す必要はありません
  • 旧様式の書類も、当分の間は必要な修正をして使用できます
  • 資格者証などから本籍に関する記載欄が削除されました
  • 本籍欄の削除と、本籍記載の住民票等が不要になることは別の問題です
  • 警備会社は、社内に保存している申請書や手続マニュアルを確認する必要があります

正確には「警備業法本体」の改正ではありません

今回施行されたのは、主に次の2つです。

  • 警備業法施行規則の一部を改正する内閣府令
  • 警備員指導教育責任者及び機械警備業務管理者に係る講習等に関する規則等の一部を改正する規則

一般には「警備業法改正」と呼ばれることもありますが、警備業法本体の条文や警備業務の区分、警備員教育の時間が変更されたものではありません。

主な改正内容は、資格、講習、検定に関する申請事項や書類の様式の見直しです。

資格者証などから本籍欄が削除されました

今回の改正では、警備業関係では主に次のような書類が見直されています。

  • 警備員指導教育責任者資格者証
  • 機械警備業務管理者資格者証
  • 警備員指導教育責任者講習修了証明書
  • 機械警備業務管理者講習修了証明書
  • 警備員等の検定に関する申請書
  • 検定合格証明書など

これらの申請書や資格者証、証明書について、本籍または外国人の場合の国籍等に関する記載事項や記載欄が削除・見直しされました。

資格者の能力や資格要件が変わったのではなく、書類に表示・記載する個人情報の範囲が見直された改正です。

当初は「住所欄へ変更」する予定でした

今回の改正には、注目したい経緯があります。

当初の改正案では、警備員指導教育責任者資格者証などに設けられていた「本籍」欄を「住所」欄へ変更する案が示されていました。

しかし、資格者証に住所を記載すると、転居するたびに書換え手続が必要になります。

パブリックコメントでは、申請者の手間がかえって増えるため、住所欄に変更するのではなく、該当欄自体を削除してほしいという意見が出されました。

その意見を受け、最終的には、警備員指導教育責任者資格者証、機械警備業務管理者資格者証、それぞれの講習修了証明書について、住所欄への変更ではなく、該当欄そのものを削除する内容へ修正されました。

現場の手続負担を踏まえ、公布前に内容が修正された点も、今回の改正の重要な部分です。

現在の資格者証は取り直す必要があるのか

結論からいうと、今回の改正だけを理由に、現在持っている資格者証や合格証明書を取り直す必要はありません。

改正前の様式で使用されている書類は、当分の間、改正後の様式によるものとみなされます。

そのため、現在使用している警備員指導教育責任者資格者証、機械警備業務管理者資格者証、検定合格証明書などが、10月1日から突然使えなくなるわけではありません。

旧様式の用紙についても、当分の間は、必要な修正を加えて使用できる経過措置が設けられています。

ただし、書換えや再交付など、実際に新しい申請をする場合は、申請先の都道府県警察が公開している最新様式を使用するのが確実です。

本籍記載の住民票も不要になるのか

ここは、今回の改正で最も誤解しやすいところです。

資格者証や申請書から本籍欄が削除されたからといって、警備業に関するすべての手続で、本籍または国籍等が記載された住民票が不要になったわけではありません。

警察庁は、本籍や国籍等について、申請書に添付する住民票の写しなどにより確認できる場合があると説明しています。

つまり、

「資格者証に本籍を表示すること」

「申請書に本籍を記入すること」

「添付書類によって本籍等を確認すること」

は、それぞれ別の問題です。

警備業の認定申請、警備員指導教育責任者資格者証の交付申請、検定合格証明書の申請、警備員の採用時に会社が確認する書類では、それぞれ目的と根拠が異なります。

今回の改正だけを理由に、会社で確認・保管している書類を一律に廃止しないよう注意が必要です。

警備会社が今すぐ確認したい5項目

1.申請書を最新版へ更新する

社内のパソコンや共有フォルダに、古い申請書を保存している会社は少なくありません。

管轄する都道府県警察のウェブサイトを確認し、最新版が公開されている場合は差し替えておきましょう。

2.旧様式をすぐに廃棄しない

旧様式は、当分の間、必要な修正をして使用できるとされています。

ただし、具体的な記入方法や窓口での取扱いについては、申請先の警察署などへ確認するのが確実です。

IMSグループの主な活動地域については、次の公式ページから警備業関係の申請様式を確認できます。

申請書を以前にダウンロードして社内で保存している場合でも、申請前に公式ページを開き、様式が更新されていないか確認してください。必要書類、提出部数、受付方法などについて不明な点がある場合は、申請先となる警察署へ確認するのが確実です。

3.資格管理マニュアルを見直す

資格者証の交付、書換え、再交付、検定申請などについて、社内で使用しているチェックリストやマニュアルを確認します。

「申請書に記載する事項」と「添付書類として提出する事項」を分けて整理することが大切です。

4.資格者本人へ正しく説明する

資格者の中には、「本籍欄がなくなったので、資格者証を交換しなければならない」と考える人がいるかもしれません。

既存の資格者証は引き続き使用でき、今回の改正だけを理由とした取直しは必要ないことを周知しておきましょう。

5.都道府県ごとの最新案内を確認する

国の規則は共通ですが、申請窓口、予約方法、必要部数、書類の有効期間などの案内は、都道府県によって異なる場合があります。

実際に手続を行う場合は、必ず管轄する都道府県警察の最新情報を確認してください。

独立すると、法令対応も社長の仕事になる

警備会社での独立というと、営業、人材採用、警備員の配置などに目が向きがちです。

しかし、警備業は認定、資格、教育、各種届出によって成り立っている事業です。

一つひとつは小さな様式変更でも、対応を見落とせば、申請のやり直しや資格者配置の遅れにつながる可能性があります。

警備員として現場経験を積むことと、警備会社を経営することは同じではありません。

制度変更を確認し、会社への影響を整理し、担当者や資格者へ伝え、社内書類を更新することも、経営者の重要な仕事です。

法令対応を一社で抱え込まないために

独立後は、営業、採用、教育、配置、労務管理に加えて、法令改正や申請様式の変更にも継続して対応しなければなりません。

IMSでは、独立した会社をその後も一社だけにせず、法令情報、資格者育成、教育方法、会社運営上の課題などを、グループ内で共有することを大切にしています。

また、こうした課題は、IMSグループだけで解決するものでもありません。

同じ警備業に携わる会社同士が情報を持ち寄り、教育や資格管理、業務改善について協力することにも意味があると考えています。

警備業での独立を考えている方や、資格者育成、教育、業務改善などで協業に関心をお持ちの警備会社の方は、ぜひIMSへご相談ください。

参考資料

※本記事は2026年10月2日時点の公表資料に基づいています。具体的な申請方法や必要書類については、管轄する都道府県警察へご確認ください。