40代・未経験から警備業は遅い?国家資格から独立までの現実的な道筋

40代になると、仕事について考える言葉が少し変わってきます。

「何をしたいか」だけでなく、「この会社で何歳まで働けるのか」「今の収入は続くのか」「もし会社や業界の状況が変わったら、自分に何が残るのか」といった不安が現実味を帯びてきます。

転職したくても、未経験の業界に入るには遅いのではないか。今から資格を取っても間に合わないのではないか。独立に関心はあっても、家族や生活を考えると簡単には踏み出せない。

では、40代・未経験から警備業を選ぶのは遅いのでしょうか。

結論からいえば、年齢だけで「遅い」と決める必要はありません。ただし、警備員として就職することと、警備業で将来の選択肢をつくることは別です。現場経験、国家資格、管理業務、経営の知識をどう積み重ねるかによって、その後の道は大きく変わります。

※前記事https://ims.tokyo.jp/contents/1830

40代の警備員は、決して珍しくない

警察庁の「令和7年における警備業の概況」によると、2025年末時点の警備員は全国で59万6,985人です。このうち40~49歳は7万8,479人で13.1%、50~59歳は11万8,001人で19.8%を占めています。

40代と50代を合わせると、警備員全体のおよそ3人に1人です。さらに70歳以上も21.6%を占めており、幅広い年代が働いていることが警備業の特徴です。

もちろん、この数字だけで「何歳でも楽に働ける」とはいえません。交通誘導警備には、暑さや寒さ、長時間の立ち仕事、車両や歩行者への継続的な注意が求められます。現場によって身体的な負担も異なります。

一方で、40代であること自体は、警備業への転職を諦める理由にはなりません。むしろ、社会人として身につけてきた報告、連絡、時間管理、対人対応、後輩への指導などが、現場でも管理業務でも役立つことがあります。

未経験で入れることと、簡単な仕事であることは違う

警備業は、他業界から未経験で入る人が比較的多い業界です。しかし、「未経験から始められる」と「誰でもすぐに一人前になれる」は同じではありません。

警備員は、法律に基づく教育を受けたうえで現場に立ちます。交通誘導であれば、車両の動きだけでなく、歩行者、自転車、工事車両、道路状況、周辺住民への配慮などを同時に考えなければなりません。

経験を重ねるほど、危険の兆候に早く気づき、現場関係者と適切に意思疎通できるようになります。40代から始める場合は、過去の肩書にこだわらず、まず現場を学ぶ姿勢が重要です。

国家資格は、将来の選択肢を広げる

警備業には、交通誘導警備業務、施設警備業務、雑踏警備業務などの検定制度があります。

警察庁によると、2025年末時点で、級別や種別を問わず何らかの検定合格証明書を保有する警備員は16万1,019人でした。警備員全体の約27%に当たります。

資格を取れば、ただちに管理職や経営者になれるわけではありません。それでも資格取得の過程で、関係法令、安全管理、事故発生時の対応、現場での判断などを体系的に学べます。また、資格者の配置が必要な現場もあるため、会社にとって重要な人財になる一歩にもなります。

40代から目指す場合、資格は「転職に有利な肩書」だけではなく、自分が何を理解し、何を任せてもらえるのかを増やすための土台と考えるべきでしょう。

現場の次に、会社を動かす仕事がある

警備会社の仕事は、現場での警備だけではありません。

警備員の配置を決める管制、現場との調整、採用、教育、営業、労務管理、請求、原価管理など、多くの仕事が組み合わさって一つの現場が成り立っています。

独立を目指すのであれば、現場ができるだけでは足りません。

  • 必要な日に必要な人数を配置できるか
  • 警備員に適正な賃金を支払える単価で受注できるか
  • 社会保険、教育、健康診断、制服や装備の費用を見込めるか
  • 欠員や事故が起きたときに対応できるか
  • 顧客から継続して選ばれる品質を保てるか

こうした会社運営の仕組みを理解して初めて、独立が現実的な選択肢になります。

IMSグループが重視しているのも、すぐに会社をつくらせることではありません。まず現場を知り、その後、管制、採用、営業、数字、人財育成へと経験を広げる。その過程で、本人の得意分野と不足している部分を確認しながら、経営を任せられる状態を目指します。

社長になれば定年はない。しかし、会社には存続の責任がある

会社員には定年がありますが、社長には原則として一律の定年はありません。健康と意欲があり、経営を継続できれば、年齢にかかわらず仕事を続けられます。

ただし、それは「自分一人が働き続ければよい」という意味ではありません。

警備会社を経営すれば、警備員とその家族の生活、取引先の現場、法令遵守、教育、安全管理に責任を負います。また、警備業を営むには都道府県公安委員会の認定が必要で、営業所ごと、取り扱う警備業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任しなければなりません。

社長自身が病気や事故で動けなくなったとき、会社を誰が動かすのか。管制や経理を一人に依存していないか。次の経営者を育てられているか。

「自分に定年がない会社」をつくるだけでなく、「自分がいなくても続く会社」をつくることが、本当の意味での独立です。

自分の弱点は、仕組みと仲間で補える

独立を考える人の中には、営業が苦手、数字が苦手、人財採用に自信がない、警備業の経験がない、といった不安を持つ人もいます。

経営者がすべてを一人で完璧にこなす必要はありません。しかし、自分が何を知らないのかを理解し、学ぶか、任せるか、外部の力を借りるかを判断する必要があります。

警備業者の90.3%は警備員100人未満で、84.2%は営業所が一つだけです。小規模な会社が多いからこそ、社長の判断が会社の採用、教育、処遇、仕事の品質に直接表れます。その一方で、一社だけでは採用難、教育、急な増員、システム整備などを解決しにくい現実もあります。

だからIMSでは、独立後も会社同士が協力し、互いの不足を補える関係を大切にしています。独立とは孤立することではありません。

40代は「遅いか」を考える年代ではなく、残り時間の使い方を決める年代

40代から警備業を始めれば、若い人より遠回りになる部分はあります。一方で、これまでの仕事、失敗、人間関係、家庭生活から学んだことは、20代にはない経営資源になり得ます。

大切なのは、警備業に入ること自体をゴールにしないことです。

現場で安全を学ぶ。資格を取る。人を配置する。採用と教育を経験する。売上だけでなく原価と利益を見る。そして、自分の弱点を補ってくれる仲間と仕組みをつくる。

40代・未経験からでも、この順番を現実的に積み重ねれば、警備員として働くだけでなく、管理者や経営者を目指す道が見えてきます。

「もう遅いか」ではなく、「これから何年かけて、何を身につけるか」。

IMSは、警備の仕事を覚えるだけでなく、将来は会社を担いたいという人財と出会い、一緒にその道筋を考えたいと思っています。


制度情報についての注意

全国警備業協会のウェブサイトには、35歳以上55歳未満など一定の要件を満たす人を対象とした、交通誘導警備2級・施設警備2級の無料講習案内が現在も掲載されています。一方、厚生労働省の「就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース事業」のページには、同事業は令和4年度で終了したと記載されています。

無料講習の利用を検討する場合は、ウェブページだけで判断せず、全国警備業協会、都道府県警備業協会またはハローワークへ、現在の募集状況と対象要件を直接確認してください。

参考資料

※本記事は2026年10月14日時点の公表資料を基に作成しています。制度や申請要件は変更されることがありますので、実際の手続きでは最新の公式情報をご確認ください。

執筆・監修:株式会社IMS 榎本 恒